新車リース


アメリカで新車をリース。

新車のローンとか中古車購入とか考えてる場合、新車のリースは検討してみる価値がある。私は新車リースを必ずオススメしているわけではないが、検討はオススメする。こっちのほうがあからさまに有利なケースがあるので。月$200未満でリースできたりすることもあるし。

そもそもリースって、車を「借りる」と勘違いされていることが多い。所有権を得るわけではないので借りてるのは確かだが、それはローンも同じ。期間が短く、車の代金を全額支払わないローンだと理解すべき。

借りて返すだけの「レンタル」とは全く別のものである。リースのことを長期間のレンタルだと思っているのであれば、この記事はかなり読む価値があると思う。

お値段が気になる場合、ディーラーに行って聞いてみたくなるというのは分かるんだけど、下に説明する通り(長い)、あなたが支払う値段は最後まで分からない。目安として、クレジットスコアが800ならコレくらいですよ、みたいなのは聞けると思う。

なぜ正確なお支払額が簡単にわからないかというと、まずは新車購入と同じプロセスを経た上で、リースの契約をするからだ。

リース(正確にはClosed-end Lease)を組む際、Lease Term(期間)、走行距離、車の価格(Adjusted Gross Cost)、月々の支払い、Residual Value、 というのが5つの重要な数字。

リースはリース会社(大抵は自動車メーカーの子会社)との間で行われ、ディーラーは仲介してるだけ。ディーラーはリース会社にその車を売るという形。そのリース会社への売却価格をまず決めるのは新車購入と同じプロセス。

期間

短くて24ヶ月というのも見たことあるけど、36ヶ月(つまり3年)が多い。長さ (term) は契約前に変更できなくはない。

走行距離

走行距離は月1000マイル、年間12,000マイルというのが多分デフォルト。変更して長くすることは可能だけど変更しないほうがたぶんよいし、これを超える予定ならリースはやめた方がいいかと言うと、必ずしもそうではない(後述)。

月々の支払い

月々の支払いだけで言うと、5年のローンよりも安い事が多い。車種によっては$200を切ることもある。

ただ、この額はクレジットスコアと関係するので、リース会社に照会しないと分からない。クレジットスコアが良いのであればすごく安く借りることが出来たりする。

ただ、月々の支払いが低い分、必ずしも得かと言うとそういう事は無い。Residual Value(次項)が高くなるというだけの話。リースを終えて本当に返すのであれば低いほうが得なのは確かだけど。

Residual Value

Residual Value とは、リース期間が終わった際、その車をリース会社から購入するための費用。この額はすごく大事で、次に新しいリースを組んだり際には、次の車の下取り額と作用する。

リースなのに下取り???

リースというのは常にその車を買い取る権利がついていて、その額を払えばその車は完全にあなたのもの。リース開始時にはほぼ購入価格と同じで、毎月のお支払を済ますと、この Buyout Price(またはPay Off Price)というのが毎月下がっていくのだ。

別の言い方をすれば、36ヶ月のリース契約というのは36ヶ月経たなくても、Buy Out Price を払えばいつでも終了できる。ディーラーに途中で買い取らせて新しい車にするというのも可能。36ヶ月経つと、返すか買い取るかディーラーに売るかの選択肢になる。

例えば3年のリース期間終了が迫っているとしよう。ディーラー(別のメーカーのディーラーでももちろんよい)に行って、そこの車を買うなり、新しくリースするなりして、その車を任せることが出来る。ディーラーはリース会社からその車を買い取って中古車として売るのだ。

とは言え、丸投げしても別にいいんだけど、Residual Valueに比べ、その車の市場価値が高い場合、ディーラーがそれをきちんと正直に出してくるとは限らないので監視したい。ディーラーがリース会社から買い取る値段よりも、その車の価値が高いということであり、その分があなたの資産みたいなものなので、きちんと換金しよう。で、その分が次の購入なりリースの資金になるのだ。

なので、極端に言うとリースをしながら次の車の購入に向けた貯金みたいになっちゃってたりするわけ。市場価値の下がらない車を買えば。

Down Payment

Down Payment、頭金というのが存在するけど、リースにおいて頭金をはらうメリットって無いと思う。ローンなら頭金の分早く支払いを終えるけど、リースの場合Downはゼロで交渉したほうがよいと思う。月々の支払いを前もって払うというそれ以上の価値はないという理解。クレジットや納入諸経費の関係で、これだけのDown Paymentが必要、と言われることはあるらしい。

リース終了時

リース終了時にどういうことが起こるかを知っておこう。

リースを終了して、リース会社に車を返すというのがデフォルトであるがこれをやったほうが良いケースは少ないと思う。Residual Valueがその車の中古市場価格よりも高い場合(upside-downと言うんだが)であれば、返したほうがいいけど、それはかなり稀だと思う。

リース会社からInspectionの知らせが来て、ぶっ壊したりしてないかのInspectionを受けて、最終日に引き渡し、みたいな。

その後メリカで車はもう乗らないのであれば返却でもいいけど、その後も車に乗りたいのであれば、その車の市場価値がよほど低くない限り、これはやらないほうがきっとよい。

新しい車に

次の車をリースなり購入なりするというのが第1のオプション。ディーラーに持っていくと、ディーラーはリースしている車を下取りした上、Residual Valueをリース会社に払って買い取った上に中古車として(高く)売る。ディーラーはこれがかなり儲かるらしく、よく、新車ディーラーに中古車が並んでるけど大半はこれらしい。

その際にResidual Valueよりも価値があると評価されれば(普通ある。ここは交渉すべきところ)、その分次のリースなりローンの頭金となるのだ。ここに差がある分だけ、リースで利益を生み出したことになる。ここをゼロとかマイナスかのようにディーラーが言ってくることが多いので、その際はほかをあたると伝えてゴリゴリ交渉しよう。ちなみに、多くの人はResidual Valueよりも価値があるのに、せっかくためた貯金に気づかずボッタクられて、新規のリースを組んでしまってたりする。

新しい車にするタイミング、36ヶ月よりも早くて大丈夫。早いほうが良い。12ヶ月で新しいリースに乗り換えるのも可能。36ヶ月乗るとしても、34〜35ヶ月くらいで行ったほうが「まだ2ヶ月あるけど聞きに来ただけ」とか言って買う気があんまりないように見せてディーラーと上手く取引するにはよいかも。ギリギリに行くと「なんとかしないといけない」状況なので不利。

リファイナンス

第2のオプション。その車に乗り続けたいのであれば、(リース延長というオプションも無くはないらしいけど)自分で銀行に行って自動車ローンを組んだり出来る。Residual Valueの分を銀行から借りて、それを月々支払う感じ。

一般的にはCredit Union が低い利率で自動車ローンを出しているとされている。

リースに必要な要件

国籍とかビザの事はめったに聞かれないと思うけど(車持って逃げないでしょうし)、クレジットスコアは重要。それなりのクレジットが無いとリースは承認されない。承認される限り、クレジットスコアが低くても上記のようにResidual Valueが下がるので、必ずしも損をするわけではない。

改めて走行距離

リースに際し、年間の走行距離というのが設定される。1年間12,000マイル、3年で36,000マイルだったりする。

3年後、リース会社に返却するのであればこの数字は関係してきて、これを超えると1マイルにつきいくらみたいなペナルティの額というのが設定されている。

ただ、リース会社に返却なんていうのは稀なシナリオだし、あまり気にする必要がない。もっと気にするべきは次のこと。

リースに適した車

3年後の市場価格が高いと考えられる車。市場価格というのは走行距離によっても変わるし、どれくらい走るかとかを考慮して選ぶのが吉。

3年後に確実に市場価格が下がりそうな車っていうのはあるし、そういうのは避けた方がよいのかも。リース後に買い取ってしまうならそんなに関係ないのだが。

市場価値が下がりにくくて、これがいいですよっていうのは無くはないんだけど、迷った場合などはお気軽に!

リースは得か

それは場合によるけど、例えば$20,000の新車を買って10年乗るとしよう。これだと120ヶ月で割って、月々166.67ドルかかる(金利とかが無いにしても)。実際10年以上乗れるだろうけど、それ以後は維持費もかかるので、10年で計算しとこう。

$20,000の車を3年リースにすると、月々$200くらいになったとする。この計算で行くと買って長く乗るより高いのは確か。ただ、3年で総額$7,200払って、Residual Valueは$14,000未満になるだろう。3年落ちの車の下取り価値はおそらくもう少し上なので、その分($1800だけど)貯金になっている。

3年の保証期間内で故障の修理負担を想定しなくて良い新車に乗れ、3年後にはまた新しい新車に乗り継いで、10年の間、3年毎に新しい車に乗り続けるのと、10年間同じ車に乗り続けるのどっちが好きかみたいな。

古い車は保険の値段も下がったりするし、この比べ方は大雑把すぎるんだけど、壊れるリスクの小さい新車に乗り続けられるのがリースの魅力。あと、車ってどんどん安全性も上がっていくし。

リースではなく買って、3年後に売るというオプションももちろんあるし、リースしてその後買い取るのも可能だし、要するに大差ないと言ってしまえばそれまで。

5年で売れば。。。

$20,000の新車を買って5年、6万マイル乗るとしよう。

そうするとまあだいたい下取り価格が$12,000〜$14,000になると想定できると思う。$12,000だとして、5年で$8000。月々$133ということになる。これは結構ローコスト。5年で売るくらいが割と得なのかも。

5年で6万マイルだと、おそらくメジャーな故障(ミッションとか)は起こりにくいだろうし、タイヤとかブレーキとかの消耗品の交換の必要もギリギリ無いだろうし、それ以上乗ればそれらのコストも間違いなくかかってくるし、いちばん売り時な可能性高い。

これならばリースよりも得な感じが。新車を現金で買ってしまえるなら多分これが一番オトク。買えなかったとしても5年間金利ナシのローンとかあるし、お得な可能性が一番高いオプションかも。

でもまあ車種とか乗る距離とかによって状況は変わってくるし、「5年で乗り換え」というのを闇雲に信じないほうがいいと思う。

ご質問等はお気軽に!