シウマイ弁当





無人島に弁当を持って行けと言われたら、 
間違いなく僕はこの弁当を選ぶだろう。シウマイ弁当。 

この弁当を愛するにはまず「美人は3日で飽きる」の意味を理解する必要がある。末永く愛するには美人である必要などないのだ。 

均整の取れた、目立たない美しさ、そしてそれがもつ安らぎを求めるからこそのものである。 

駅弁ブームとかで無駄に豪華な駅弁などが流行ったりしたが、そのような下賤な弁当とは別世界の弁当である。 

大学生のころ、実家に帰るときに羽田空港で飛行機に乗る前になぜか必ず食べていた。そして、いつも変わらぬ順番で食べる習慣までついてしまったので、その順番でシウマイ弁当を語ろう。 


タケノコの煮物 

なんの変哲もない煮物だが、甘すぎず、辛すぎず。 
これが最初の一口を汚すことがなくてとてもよい。 


ごはん

シウマイ弁当で特筆すべきはこのご飯であろう。 タケノコの煮物と同時に8等分されたうちの4等分のご飯を食べるのが僕の習わしであるが、とにかく一粒一粒が形を保ったまま、しかも中は柔らかく、こんなウマい冷ご飯は他に見たことがない。このご飯はそれ自身がおかずになるような美味さだ。また、その美味さを邪魔することがない程度にふられた黒ごまが何とも愛おしい。 


昆布 

僕が昆布を食べるのは、おせちとシウマイ弁当だけだ。 


魚(たぶんマグロ)の照り焼き 

このパサパサ感が「弁当の魚」のイデアである。 
パサパサしたおいしさがここに詰まっているといってよい。 


カマボコ 

おそらくこのカマボコは見た目がさえないシウマイ弁当に派手さを加えようと無理矢理押し込められたモノである。でも、実際はマグロのパサパサ間を味わったあとに食べると、ジューシーで不当に美味く感じる。対比のもたらす美しさとはこのことである。 


唐揚げ 

唐揚げを口にしただけで、ご飯の残りの4等分のおかずをこなしてしまうような、そういう味。とても平均的な唐揚げである。 


シウマイ(5個) 

食べるたびになぜ5個なのか本当に気になる。 
5個にはやっぱり意味があるんじゃないか? 
「シウマイ弁当」と言っている割には、 
別にこのシウマイが美◯いわけではない。 (美味いけど)
でも「シューマイ」と聞いて思い浮かぶあの味を狂うことなく口の中にもたらしてくれるシウマイが5個あれば全く文句はない。 


杏 

毎回食べるたびに謎なのは、この杏はデザートとして入れられているのか、それともおかずなのか。僕自身はこれに関して解を持っておらず、昆布の前に食べることもある。いずれにせよ、これを食べると口のかながすっきりする気がする。 


パッケージ

最後に、パッケージのことを述べておこう。 
黄色い紙に「シウマイ 御弁当」 。すごく魅力的な何かがあるとは思えないが見入ってしまう。

(という、2006年10月の、ミクシー日記をコピペ+改変してみた。)