新車購入


アメリカで新車を購入。

とりあえず、ディーラーに行って、この車欲しい、となった場合のシナリオから。「この車」とはあなたが運転して帰る現物がそこにあり(店を去る時にはあなたは新しい車を運転しているのだ)、その代金を今すぐ支払える(またはローンを組んだりリースにしたり)と言う状況。

「ディーラーに行く」とは

テスラとか高級欧州車とかでない限り、ディーラーって「ショールーム」という性格はほとんど無く、ディーラーに「おたくの車に興味があります」と言って訪れると、セールスに通される。

ディーラーのセールスパーソン(っていうかセールスマン)って、店に来た客に「弊社の車を見ていただいて好きになっていただければよいです」みたいな発想はあんまり無く、「その日に契約、その日に新しい車に乗って帰ってもらう」というメンタリティ。「ちょっと車見に来ました」か言うのはあまり相手にされない。 追い払われはしないけど。ディーラーに行ったら、買うか買わないか、そういう感じ。数百万の買い物に、それは無い気はするけどそんな感じな事が結構多い。

新車購入

新車を買うって言うと、外側はこの色でシートはこの色で、内装はこれとこれとこれを、みたいなフルカスタマイズも可能なんだが、そういうのは割と少ないし割高である。

最も一般的なのは、ディーラーがすでに在庫として保有している車の中から選ぶ感じ。この車種のこのクラスだと今この色があるけどどれにする?みたいな。野ざらしで駐車してある車の中から選ぶみたいな感じ。

それでもあくまで新車。契約し終わったら洗車して引き渡してくれる(笑)。

試乗

試乗はもちろん可能だが、試乗専用車とかを置いてるのはかなり稀で、実際に購入するかもしれない車自体を運転させてくれる感じ。

試乗に関してはセールスの人次第でだいぶ変わる。ちょっと試乗させてって行っただけなのに、今日買って帰るか迫られるというのはザラ。フラっとディーラーに行って(行かないほうがいいです)、ちょっとこの車興味あるから運転してみたいんだけどって言ったら簡単に鍵貸してくれて2時くらいまで乗ってきていいよとか言われた上に気になったらまた来てと言われる程度で済むこともあるし、そのへんは謎。それで50マイルくらい乗り回したことがある。

購入の実際

新車購入、メーカーから直接買うなら話は簡単だが、実際、消費者が新車を買うのはディーラーから。

ディーラーはメーカーから車を買って消費者に売る。当たり前の事だけど再確認しておきたい。ディーラーでわれわれが車を買う時、すでにディーラーがメーカーから買った車をさらに買ってるわけで、高く買えばディーラーの利益は増える。

ディーラーにはメーカーのロゴやら何やらが掲げられ、メーカーの一部であるかのような印象を受けるが、それはちょっと違う。ディーラーは好きな値段で売るし、高く売れればその分儲かるって話。

もちろん法外な値段で売ることはないんだけど、車という高額の買い物をする際に、1%の差って数万円なわけ。なので1%は小さな差ではない。

それではその差とは何かをまず。

メーカーはMSRP (Manufacturer’s Suggested Sales Price) 、ソックリそのままメーカー希望小売価格っていうのを出してて、アテにはなる。要するに、この価格で売ればディーラーは十分な利益を生み出して、メーカーの傘下たるディーラーの繁栄が期待できるというお値段。新車の窓の紙に貼ってある値段。

消費者側としては、それよりもどれだけ安く買うか。1%が数万円。安く買えば買うほどこちらは得をするが、ディーラーの利益はその分減るという話なので、どの価格で双方が同意出来るかというのが交渉。車購入に限らず、お互いの利益を確保できる点を見つけるというのを生み出すのが「交渉」と言う共同作業。衝突ではない。

truecar.com に行くと、平均の購入価格 (purchase price) というのを示してくれる。一般的に、MSRPよりは安い。ただし、あくまで平均。自分が車を買うあたり、この額は絶対に譲れないラインなので入手しよう。

交渉とか面倒くさいのであれば、 truecar.comで個人情報等を献上すると、True Car Priceというのをくれて、ディーラーに着いたらその額でほぼ交渉なしでも契約できる上に、平均価格よりも低いことが普通。お互いの利益を確保できるであろう点を予め用意してくれるサービス。

どの数字に関して交渉するか

結論から言うと、 Agreed Upon Purchase Price、通称 Purchase Price を交渉する。これは、この車の購入に関して、ディーラーが受け取る金額である。

そんなのこっちの知ったことじゃないし、実際それ以外になんかチャンネルがあって、他のお金も受け取ってたりするのかもしれないけど、メーカーにお金や諸経費を払って仕入れたディーラーが、消費者に販売することにって消費者から得る金額。この額には車納入等の諸経費はもちろん含まれており、ディーラーが車を店で所収するまでにかかった費用をカバーする。

キャッシュ、ローン、リースのどれであっても関係なくこの Purchase Price をまずは交渉。

Purchase Price は車両本体の価格であって、オプションで取り付けてあるもの等は含まれていない。オプション等を足したやつはAdjusted Purchase Priceとか呼ばれたりする。もちろん税金とか車体以外は含まれていない。車体とオプション含めた額を交渉してもいいんだけど、大差ない。Purchase Priceを交渉したほうが、ネットで調べられる値段と比べやすい。

ダメなのは、月々の支払額を交渉するやつ。月々の支払額はディーラーが決められないので、これを交渉しても無駄。下の、ローン・リースの交渉を参考。次月の支払額を下げるためにはPurchase Priceを下げるしかほぼ無いのだから、そこを交渉しなくてはなら無い。ローンにしたいかリースにしたいかとか聞かれても「まずは Purchase Price を知りたい」と断固応えるのがきっと良い。

我々がセールスの人と話して、額が決まっても、その上の偉い人が承認するシステムだったりするので、「いくらに出来ますか?」とは聞かず「この額なら今すぐサインできます」と、平均よりも少し低めの値段を言って様子を見る。平均より上だと、マジかお前みたいな対応をするしかない。今日は帰りましょう。(って言ったら下がったりしますので。)

どっちにしろ「この車がほしい」みたいな態度は不利。「値段によっては買ってもよい」くらいがちょうどよい気が。

下取り

下取り価格も交渉の対象であるけど、Purchase Priceを聞いてから交渉しないと、ごまかされやすい。それぞれ別々に交渉が必要。下取り額は前もってCarvanaでの買取価格を手にしておいたりするとよい。この数字は言わないこと。Carvanaよりも高い数字を出してくる可能性は低くない。もし低くても、Carvanaの価格よりも遥かに高い数字を要求しよう。それでCarvanaよりもやや高いくらいに落ち着けばよいのではないか。それでも低いなら他で売ってからにする、と言ってしまえばオッケー。

ディーラーに下取りさせるよりも、自分で個人転売したほうが高く売れるというのはきっと確か。

Purchase Price・下取り以外の交渉事項

(Agreed Upon) Purchase Price というと、こちら(消費者)が支払う額のようだけど、実際は支払額ではない。実際に支払う額は他の要素が絡む。

リベート

メーカーからのリベート(割引:メーカーがディーラーを経由して消費者を支援するという変なやつ)。これを Purchase Price に含めてディーラーがごまかそうとしてないかは注意。これはディーラーによる割引ではない。翌年モデルが発表されたりして、メーカーが在庫を吐き出したい時とかに多く見かける。Purchase Priceからさらに安くするためのものであるので、ここをごまかしてないかは要チェック。

税金、諸経費

税金、登録費等を加算。結構イミフな諸経費が並ぶので、いちいち聞いてみるとよい。

最終的な支払額

これらを含めて Total Amount Due / Balance Due(支払額、別の呼び方も色々あるので注意。リースだとAdjusted Gross Capitalized Costと呼ばれる)。

これに同意すれば、キャッシュ購入の場合これで契約書が作られて支払っておしまい。仮に、全額払えたとしても、ローンを組んだほうが良かったりする場合がある。次のモデルが出る直前とかになると、メーカーが古いモデルを売るために、メーカー持ちで安売りをかけてくるタイプのリベートがあったりする。ただし、これがメーカー傘下のローン経由だったりする。3年ローンを組むと$2000引きとかはザラ。仮にキャッシュ購入でも、前もってそういうのが無いか調べておくと良い。

全額払えるのであれば、ローンを組む必要が無いというのは分かるのだけど、一旦ローンを組んで、翌日(というか1ヶ月以内に)全額払ってしまうと、単に$2000安くなるというマジキチワールドだったりするので要確認。

契約書にサインする前に、Purchase Price、Adjusted Purchase Priceを必ず聞いて、これって指さされて、違うこと書いてあったらPurchase Price/Adjusted Purchase Priceって書き込もう。万一、嘘言ってたらその書類ダメになっちゃうもんねー。そこまで酷い詐欺は無いと思うけど、契約書の類、サインする前に聞いて書き込んじゃうの、騙されないには良い方法だと思う。

金額以外の交渉

ディーラーで新車を買う場合、Purchase Price、下取り額 等の金額以外にいくつか交渉できることがある。

典型的なのがオイル交換。ディーラーでのオイル交換を4回とか6回とか無料にさせることが出来る。1回$50くらいだと思えば良い。4回で$200。侮れない。実際、ディーラーでオイル交換すると、$80くらいはすると思うし。

金額の交渉をして、「これ以上は無理」って言われたら、オッケー、それはじゃあオイル交換何回?みたいな。

ローン・リースの交渉

ローン、リースの違いはリースのところで。ローンとリースはディーラー以外の金融機関が絡む。これが車のメーカーの子会社だったり、近所の信用金庫だったり、いろいろパターンがある。

ローン、リースの交渉の前に、クレジットスコアを照会してよいかの許可をサインしてくれと頼まれるはず。

その人のクレジットによって可能な額が決まる。ここでの金額は交渉不可能で、選択肢がいくつかあるってだけ。出された金額にノーを言っても、他の金融機関に照会して、Hard Inquiry なんてかけられちゃった日には(でもそれを許可することをすでにサインしている)Credit Scoreに影響しかねない。この時点での交渉は完全に不利。

ローンだと、何年払いで月々おいくら、みたいな感じ。3年にしようか5年にしようかみたいな選択肢。しつこいけどこの額自体は交渉できない。

リースの場合、Residual Valueを確認しよう。これは有期リースが終わったあと、その車を買い取る時の価格。Adjusted Gross Capitalized Cost(Net Capitalized Cost とも言う)から月々の支払額 * 回数を引いた分にちょっと足した程度の額のはず。Residual Value がそこから大幅に高かったらなにかおかしいので、理由を調べないといけない。

ローンとかリースの交渉を含めると、店を訪れてから3時間くらいかかるのはザラなので、そのへん余裕を持っておいたほうが良いはず。

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