かしわおにぎり



東のシウマイ弁当、西のかしわめしと呼ばれるほど(誰によって?)、東筑軒のかしわめしは名作であり、現に東京wでシウマイ弁当のニセモノたちが群雄割拠しているのと同様、九州北部は東筑軒のニセモノが数多く用意してある。

有名なのはかしわめしという駅弁で、異常に美味い米の上に肉と玉子と海苔が乗っているというただそれだけでオカズもなし。私はオカズが食べたくて仕方なく米を食べるタイプの人間なんだが、それでもこれは美味いと思うので、たぶんかなり美味い。

で、その折尾という駅の東筑軒さんがホームでうどん屋をやっていて(そのうどんの汁がやたら美味いので、ぜひお試しください(かしわうどんは小倉駅のやつも美味いんですけどね))、そのうどん屋で「かしわおにぎり」というのを売っている。これを捏造しました。

いろいろ捏造を試みて、コレというモノが作れるまで十年以上の歳月を費やしたし、どういう失敗だったか今思えばバカバカしいし、何を間違っていたか共有しても特に役に立つとは思えないので割愛。とにかくこれで異常に美味いかしわおにぎりを作って食べて欲しい。

個人的にはいろいろ具が乗ったかしわめしよりも、どストレートで直球勝負のかしわおにぎりのほうが好き。自分で買おうとすると、なかなか売ってない。今でこそうどん店のメニューとしてホームページに乗ってるけど、存在が認められていたかも怪しい。これほんとにヤバいから。米に味がついている、ただそれだけ。そして色もだいぶ薄い。ただしだいぶヤバい。

それでは捏造の儀。

鶏皮を茹でた。たっぷりの塩で。鶏皮は刻んで酢物にして食べるんだけど、茹でると油が出る。別に皮じゃなくてもいい。油が出ればいい。まあでも鶏皮の酢物は美味いのでぜひ。

今回はこういうチキンを買って

こういうのを作った際に、腿とドラムスティック(つまりふくらはぎ)の間の膝の裏の皮をハサミで切って茹でた感じ。

別に鶏皮なら何でもいいし、丸鶏を焼いた時の油と汁でもいい。

茹でたあとの汁を濾す。

冷蔵すると脂が固まって便利。

というのも、汁を込めを炊くのに使いたいんだが、どんだけの汁があるか測りたいから。油以外の汁の量を知りたいわけで。

今回は650mlの米。洗ってから脂だけ。

それに対し、汁は700mlほしいのだが、約600mlだったので、100ml 足した。実際のところ、このスープ自体は全然重要じゃなくて、新鮮な水道水にこの脂を足せばそれで十分に美味いやつができる。

このまま1時間以上放置。脂は若干溶けるけど特にどうでもよい。

沸騰するまで強火で炊く。ってかこの後は普通に米を炊くのと同じなので、こちらを。鍋で込め炊いたことないならば、人生かなり損してるので、ぜひお試し下さい。炊飯器でこれ炊くのも可能だろうけど、辛い人生を選ぶことに貢献したくはありません。

強火で火にかけて沸騰したら火を弱める。

水分が無くなって、

10分蒸らした後に、開けた瞬間(貴重な画像です)

混ぜる、とにかく混ぜる。米を炊くのでいちばん大事なのはこの混ぜるプロセス。デンプンを空気にあてて粒をしっかり作る!!!

水分が無くなった後、油は底に集まりがちなので、それもしっかり混ぜる

最後、味見をして塩を足す。結局鶏と塩。たったそれだけだと分かるまでにかなりの年月を費やした。味見してなんか足りないなと思ったら塩。それでも何か足りないなと思ったら高い確率で塩。この信じられないくらい美味いやつが鶏と塩だけだったとかそれだけでも感動。とにかく黙れ。

計ったこと無いけど、2合で小さじ1くらいの塩は必要なはず。

私にとって米だけ食べるというのは、どちらかと言うと苦痛に近いレベルであんまり好きじゃないけど、これはとてつもなく美味しい。

米粒を包み込む油、染み込んだ鶏の旨味。